演習募集
2019年度ゼミ募集について
昨年度まではミクロ経済学入門,ゲーム理論入門などの基礎的な必修科目と政策決定の政治経済学という応用科目を担当してきましたが,今年度からは財政学,Public Finace,Political Economicsといった分野の講義を受け持っています.これに並行して,ゼミでも日本経済や財政の分野でテキストを輪読したり,論文や研究レポートを報告したりしています.今年度春学期のゼミでは会田・榊原著「日本経済の新しい見方」を全員で輪読して読み終えた後,財務総合研究所の研究員が交代で執筆している「シリーズ日本経済を考える」という連載から学生が自分の関心で選んだ研究レポートをまとめて報告しました.私のゼミでは毎回最低でも3名は報告しますので,だいたい3回に1回は報告の順番が回ってきます.
ただ,今回,こういう最近の日本経済に関わる本や論文を読ませてみて,やはり経済学の基礎ができていないと結局は書いてあることの上っ面をあたかも分かったような顔をして報告するだけだったり,難しくてよくわからないところは勝手にスキップしたりして,あまりゼミ生の論理的思考力を醸成するには有効ではないことがよくわかりました.
そこで,秋学期からは,基礎に立ち返り,まずは計量経済学の基礎を勉強させることにしました.これからの時代,データ分析は意思決定のための必須アイテムです.どんな職業についても,データから一定のパターンを発見して意思決定に活かすことが求められます.文科系だからという言い訳は通用しません.なぜなら,数理的な細かいことが分からなくても,高校レベル基礎的な統計学の知識と想像力さえあればデータ分析は簡単にできるようになっているからです.
テキストは田中隆一著「計量経済学の第一歩」です.最初の数章の確率や統計学の基礎に関する部分は夏休みの宿題にして,秋学期からは基本的な回帰分析を全員で学びます.また,データを用意して,実際にSTATA(計量経済学のパッケージソフト)を使った回帰分析の実習も同時並行で行っていきます.
こうやって半年間で基礎的な計量分析の手法を学べば,あとは学生それぞれが関心のある分野で仮説を立て,それを実証するのに必要なデータを集め,学習した手法で解析して結果を解釈していくことになります.基礎的な勉強はそれなりに大変ですが,そこを超えることができれば,計量分析は案外アカデミックな好奇心を満足させてくれる,楽しい作業ではないかと思います.
というわけで,来年4月からのゼミでは,今年と同じように,学生たちには計量分析を勉強させようと思います.春学期は小手調べの意味も含めて,何か簡単な教科書とか論文とかの輪読をやるかもしれません.いきなり,計量経済学の教科書を読むことになるかもしれません.上記のテキストを使うかどうかは未定です.これまでは,WooldridgeやHillsなどの英文テキストを使ってきました.OBOGからは,「何でそんな易しいテキストを使うんだ」,「私たちはもっと苦労したぞ!」と叱られています.
ゼミ参加の「必要」条件
- ここ数年成績の善し悪しは問わないことにしてきましたが,「少しは世の中のことをわかるようになりたい」ぐらいの勉学意欲は必要です.ただし,みんながゼミに入っているから,自分も入りたい,みんながインターンに行くから自分も行こうかなというような主体性のない学生はお断りです.卒論は必須です.
- 今回の募集では,提出する課題はありません.どういう研究をしたいのか,応募書類にしっかりアピールして書いてきてくれれば,それと面接での受け答えで判断します.
- 三次募集では,課題を提出してください.課題のテーマは事務所で確認してください.
- 無断欠席は一発退場です.サークルや部活でゼミを休むことは認めません.