演習募集
2018年度ゼミ募集について
3月に南カリフォルニアでのサバティカルを終えて,早稲田に戻ってきました.アメリカでは政治経済学の理論研究や社会保障の実証分析をやっていました.研究も楽しかったのですが,今回のサバティカルでは経済学以外の分野の先生方とも多く知り合いになれて,アメリカの知識人というのがどんな感じなのか,研究者の日常は日本とどう違うのかなど,いろいろ垣間見ることができました.学生たちに言ってあげたいことはいろいろあるのですが,まずはありきたりでも何でもいいから,とにかく英会話を練習すること,ワンランク上の語彙を身につけること,英字新聞を読むことの3つです.これは,このコラムを見た今からでもぜひ始めるべきです.語彙は,アメリカの高校生が大学受験のときに勉強する英単語の本を買って覚えなさい.英字新聞はニューヨークタイムズが安くていいですね.何しろ,電子版だと1ヶ月5ドルぐらいですから(ちなみに,日本の新聞は1ヶ月5千円ぐらいします).リスニングを鍛えるには,NPR Newsがお薦めです.英会話は,わざわざお金を払ってスクールに行かなくても,キャンパスには外国人がたくさんいますし,英語コースの授業もたくさんあります.問題は本人のやる気だけです.
とまぁ,ゼミ募集と関係ない話はこれぐらいにして・・・・
去年のゼミ募集は,面接も課題提出もなく,書類選考だけで行いました.それでも5名の学生が参加してくれて,現在は日本の財政再建について,わりと実践的な勉強しています.最初は,ゼミ生たちがどれだけ今まで勉強してきたのかよくわからなかったこともあって,入門レベルのミクロ経済学のテキスト(ティモシー・テイラー著「スタンフォード大学で一番人気の経済学入門:ミクロ編)を読みました.続いてマクロ経済学と考えていたのですが,お勉強ばかりというのもつまらないので,高橋洋一著「99%の日本人がわかっていない国債の真実」という本をみんなで読んでみました.若干過激な表現を使いながら論争的に書いてあるので,フォーマルな大学のゼミで扱う図書ではないかもしれません.しかし結果的には,どういう論理を展開しているのか,どういう点にその論理の問題があるのかなど,いろいろと深く考えることができたと思います.
秋学期からは,井堀利宏著「消費増税はなぜ経済学的に正しいのか」を輪読することから始めます.少しアカデミックなレベルが上がります.今まで習ったミクロ経済学,マクロ経済学,ゲーム理論の知識を活用することも求められるでしょう.財政再建や社会保障改革は超高齢化社会を生きぬいていかなければならない現在の学生諸君にとって,個々の人生設計にも関わってくる重要な課題です.テレビや新聞などのメディアでもさまざまな議論が交わされますが,表面的な見方に流されず,しっかりと自分の考えを身につけて欲しいと思っています.
さて,サバティカル中のゆったりした研究者生活から授業や会議などに追われる大学教員生活への切り替えにまごついている間に,早くも来年度のゼミ募集が始まりました.もともとわがゼミは,オリエンテーションとか宣伝活動には一切参加していません.そんなことをしなくても,何か縁がある人はたどりつくだろうと勝手に思い込んでいます.
来年度のゼミでもやはり最初は,テキストの輪読から始めます.最初は簡単な教科書がいいと思います.今年読んだテキストのマクロ編が1つの候補でしょう(ティモシー・テイラー著「スタンフォード大学で一番人気の経済学入門:マクロ編).その後,財政か社会保障の現実問題を扱った書籍を読みます.具体的にどの本にするかはこれから考えますが,先日,卒業生が恵贈してくれた「社会保障:砂上の安心網」(日経新聞社編)がいいかもしれません.このようにして徐々に加速して,アカデミックなレベルを高めて勉強していこうと考えています.3年次の終わりまでには各自が関心のあるテーマを見つけて,専門的な論文などにアタックできるようになればと思います.
4年次には,各自がそれぞれ研究を進めて,中間報告を繰り返し,最終的には成果を卒業論文としてまとめてもらいたいと思っています.卒業生がこれまでに書いた論文のタイトルは別のページで紹介しています.研究のテーマは私がわかる範囲であれば,各ゼミ生の関心を尊重しています.
最近では,ビジネスの世界でもデータにもとづいて議論したり,データにもとづいて経営戦略を決めたりすることが当たり前になっています.経済学の世界でもデータ分析が重要性を増しています.かつては,数学モデルを作って誰もが気づかなかった理論仮説を提示することができれば「すばらしい研究だ」と褒めてもらえたのですが,最近では「その仮説は実証できるのか,実証的な根拠はあるのか」と必ず問われます.どこかで聞いたような台詞ですが,仮説は実証して初めて真実になる! もちろん学部学生が高度な実証分析の手法をマスターする必要はありませんが,データを使って議論するときにはどういうことに気をつけておかなければならないのか,実際にデータを扱ってみて初めてわかることも多いはずです.そういう意味で,卒業論文では計量経済学のパッケージソフトを使った実証分析を勧めています.
キャンパス外での活動としては,例年,夏の軽井沢合宿,冬の伊豆合宿を,学部生と修士の学生を一緒にしてやってきました(現在は,ちょっと学部3年生しかいないので実施未定です).また10月第1週の土曜日にはOBOG会を開催しています.2年間できなかったので,果たして今年はどのくらい集まってくれるかわかりません.OBOG会に併せて,ゼミ会誌も年に1回発行していて,近況報告や新ゼミ生の紹介などを行っています.
ゼミ参加の「必要」条件
- 成績の善し悪しは問いませんが,「少しは世の中のことをわかるようになりたい」ぐらいの勉学意欲は必要です.
- 今回の募集では,提出する課題はありません.どういう研究をしたいのか,応募書類にしっかりアピールして書いてきてくれれば,それと面接での受け答えで判断します.
- 無断欠席は一発退場です.
演習募集
2018年度ゼミ募集について
3月に南カリフォルニアでのサバティカルを終えて,早稲田に戻ってきました.アメリカでは政治経済学の理論研究や社会保障の実証分析をやっていました.研究も楽しかったのですが,今回のサバティカルでは経済学以外の分野の先生方とも多く知り合いになれて,アメリカの知識人というのがどんな感じなのか,研究者の日常は日本とどう違うのかなど,いろいろ垣間見ることができました.学生たちに言ってあげたいことはいろいろあるのですが,まずはありきたりでも何でもいいから,とにかく英会話を練習すること,ワンランク上の語彙を身につけること,英字新聞を読むことの3つです.これは,このコラムを見た今からでもぜひ始めるべきです.語彙は,アメリカの高校生が大学受験のときに勉強する英単語の本を買って覚えなさい.英字新聞はニューヨークタイムズが安くていいですね.何しろ,電子版だと1ヶ月5ドルぐらいですから(ちなみに,日本の新聞は1ヶ月5千円ぐらいします).リスニングを鍛えるには,NPR Newsがお薦めです.英会話は,わざわざお金を払ってスクールに行かなくても,キャンパスには外国人がたくさんいますし,英語コースの授業もたくさんあります.問題は本人のやる気だけです.
とまぁ,ゼミ募集と関係ない話はこれぐらいにして・・・・
去年のゼミ募集は,面接も課題提出もなく,書類選考だけで行いました.それでも5名の学生が参加してくれて,現在は日本の財政再建について,わりと実践的な勉強しています.最初は,ゼミ生たちがどれだけ今まで勉強してきたのかよくわからなかったこともあって,入門レベルのミクロ経済学のテキスト(ティモシー・テイラー著「スタンフォード大学で一番人気の経済学入門:ミクロ編)を読みました.続いてマクロ経済学と考えていたのですが,お勉強ばかりというのもつまらないので,高橋洋一著「99%の日本人がわかっていない国債の真実」という本をみんなで読んでみました.若干過激な表現を使いながら論争的に書いてあるので,フォーマルな大学のゼミで扱う図書ではないかもしれません.しかし結果的には,どういう論理を展開しているのか,どういう点にその論理の問題があるのかなど,いろいろと深く考えることができたと思います.
秋学期からは,井堀利宏著「消費増税はなぜ経済学的に正しいのか」を輪読することから始めます.少しアカデミックなレベルが上がります.今まで習ったミクロ経済学,マクロ経済学,ゲーム理論の知識を活用することも求められるでしょう.財政再建や社会保障改革は超高齢化社会を生きぬいていかなければならない現在の学生諸君にとって,個々の人生設計にも関わってくる重要な課題です.テレビや新聞などのメディアでもさまざまな議論が交わされますが,表面的な見方に流されず,しっかりと自分の考えを身につけて欲しいと思っています.
さて,サバティカル中のゆったりした研究者生活から授業や会議などに追われる大学教員生活への切り替えにまごついている間に,早くも来年度のゼミ募集が始まりました.もともとわがゼミは,オリエンテーションとか宣伝活動には一切参加していません.そんなことをしなくても,何か縁がある人はたどりつくだろうと勝手に思い込んでいます.
来年度のゼミでもやはり最初は,テキストの輪読から始めます.最初は簡単な教科書がいいと思います.今年読んだテキストのマクロ編が1つの候補でしょう(ティモシー・テイラー著「スタンフォード大学で一番人気の経済学入門:マクロ編).その後,財政か社会保障の現実問題を扱った書籍を読みます.具体的にどの本にするかはこれから考えますが,先日,卒業生が恵贈してくれた「社会保障:砂上の安心網」(日経新聞社編)がいいかもしれません.このようにして徐々に加速して,アカデミックなレベルを高めて勉強していこうと考えています.3年次の終わりまでには各自が関心のあるテーマを見つけて,専門的な論文などにアタックできるようになればと思います.
4年次には,各自がそれぞれ研究を進めて,中間報告を繰り返し,最終的には成果を卒業論文としてまとめてもらいたいと思っています.卒業生がこれまでに書いた論文のタイトルは別のページで紹介しています.研究のテーマは私がわかる範囲であれば,各ゼミ生の関心を尊重しています.
最近では,ビジネスの世界でもデータにもとづいて議論したり,データにもとづいて経営戦略を決めたりすることが当たり前になっています.経済学の世界でもデータ分析が重要性を増しています.かつては,数学モデルを作って誰もが気づかなかった理論仮説を提示することができれば「すばらしい研究だ」と褒めてもらえたのですが,最近では「その仮説は実証できるのか,実証的な根拠はあるのか」と必ず問われます.どこかで聞いたような台詞ですが,仮説は実証して初めて真実になる! もちろん学部学生が高度な実証分析の手法をマスターする必要はありませんが,データを使って議論するときにはどういうことに気をつけておかなければならないのか,実際にデータを扱ってみて初めてわかることも多いはずです.そういう意味で,卒業論文では計量経済学のパッケージソフトを使った実証分析を勧めています.
キャンパス外での活動としては,例年,夏の軽井沢合宿,冬の伊豆合宿を,学部生と修士の学生を一緒にしてやってきました(現在は,ちょっと学部3年生しかいないので実施未定です).また10月第1週の土曜日にはOBOG会を開催しています.2年間できなかったので,果たして今年はどのくらい集まってくれるかわかりません.OBOG会に併せて,ゼミ会誌も年に1回発行していて,近況報告や新ゼミ生の紹介などを行っています.
ゼミ参加の「必要」条件
- 成績の善し悪しは問いませんが,「少しは世の中のことをわかるようになりたい」ぐらいの勉学意欲は必要です.
- 今回の募集では,提出する課題はありません.どういう研究をしたいのか,応募書類にしっかりアピールして書いてきてくれれば,それと面接での受け答えで判断します.
- 無断欠席は一発退場です.